僕には12年間一人称がありませんでした。
一人称のない生活は大変でした。
意味分かないと思われる方もいるかもしれません。
正直、僕自身もなんでこうなったのかわかりません。
今回はそんな僕の12年間を話します。
- 一人称がなかなか定まらない人
- 一人称がない人が身近にいる人
一人称のない12年間
僕は小学校から高校までの12年間を、一人称なしで過ごしました。
他人との関わりが多いこの時期を一人称なしで過ごすのはかなり大変で、する必要のない苦労をしてきました。
一人称とは、具材の下味のようなもので、なくても料理としての形にはなるけど、なかったらどこか味に不安定さが安定さが付き纏うものなのかもしれません。
そんな僕も、幼稚園の頃は「俺」を使っていました。周りが「俺」と言っていたので、自然にそうなったのだと思います。
小学校
しかし、小学校に入ったタイミングで「俺」は使わなくなりました。
なんで小学校で言わなくなったのか覚えていませんが、おそらく人見知りな性格と気にしいな性格が合間って「俺」と名乗るのが恥ずかしかったのだと思います。
「俺」と言わなくなって、すぐに「僕」に変えれば良かったのですが、周りの同級生は皆「俺」を採用していました。
結局、この恥ずかしさと同調意識の板挟みの中で、一人称を決めるべきタイミングで、決めることができませんでした。
普段の学校生活では、国語の時間にみんなの前で意見を述べる時に一人称を使わざるを得ませんでした。しかし、そこではなんとなく「私」とか「僕」とか使っていればやり過ごすことができました。
もちろん、これ以外の場面でも一人称を使わざるを得ない場面はありました。それでも学校生活のほとんどを普通に過ごすことができたのは、僕が自己主張の少ない子どもだったからだと思います。
自己主張が少ないと、一人称を使うことが少ないので、なくてもなんとか過ごせたのだと思います。
それでも生活の中で言わざるを得ない時は、仕方なく「俺」を使っていました。
中学校
中学生になったタイミングで、一人称をちゃんと決めたいと思いました。しかし、結局決めることができませんでした。
僕の中学校は生徒の半分が自分の小学校から、もう半分がよその小学校から集まるような中学校でした。
急に一人称を変えたとして、元からの知り合いにそれを指摘されるのが恥ずかしかったので、結局決めることができませんでした。
中学生になると、改めて一人称がない自分を不憫に思い、意味のわからない嫉妬が生まれました。
- ときには、女子は一人称「私」でほとんど統一されていることを羨ましく思うこともありました。
- ときには、英語では一人称「I(アイ)」でほとんど統一されていることを羨ましく思うこともありました。
こんだけ悩むくらいなら、いっその事お坊さんに決めてもらいたいと思ったこともありました。
余談ですが、中学校の職業体験はお寺でした。
高校
高校に入って知り合いも少なくなり、いよいよ一人称を決めようと思いました。
しかし、それでも決めることができませんでした。と言うより「もはやなくてもいいのではないか」と思うようになりました。
もう一人称を使わな過ぎて、会話の中で使うタイミングが見つけられなかったですし、使わない会話に慣れていたのです。
そして何より、自分が「俺」と言うタイプの人間ではないと気付いていたので、口に出しても違和感しかありませんでした。
そんな感じで結局今まで通り、一人称なしの生活を送っていました。
たまに、「〇〇(僕のニックネーム)って自分のことなんて呼んでるの?」と聞かれて、「ないんだよね」と答えると、奇異な目で見られることもありましたが、しょうがありませんでした。
その中でも一つ発見がありました。
中学生から高校生へと自我を確立していく過程で、一人称「自分」がしっくりくるのではないかと思ったのです。
高校生になり、一人称「自分」でも違和感がない年齢になった、と自分では思っていました。
それからは、どうしても一人称が必要なときは、「俺」ではなく「自分」を使うことにしました。
たまに「自分て笑」と、特に女子から笑われることもありましたが、自分のことを「俺」と言う恥ずかしさに比べたら、全然マシでした。
とはいえ、「自分」と言う一人称は他の一人称と比べて不便なところも多いです。
「自分が思うには〜」と言う喋りだしには使えますが、
「自分的には〜」など砕けた言い方をする時には適していません。
「自分の部屋」など所有格としての使い方もできますが、
「これ誰の?」「それ、自分の」と言う場合には、やはり違和感があります。
そんな感じで仮の「自分」と言う手札は一応持っていたものの、何も考えずに使うことはできませんでした。
大学
大学に入ってから、もうここで決めないと一生決まらないと思い、「俺」と名乗ることに決めました。
入学直後は、今までの遅れを取り戻すかのように意識的に「俺」と言っていました。
名乗り始めた当初は、口が慣れていなかったのでかなり恥ずかしかったです。たぶん誰も気にしていませんが。
それからサークルに入り、先輩と話している時、「俺」では少し生意気そうな気がして「僕」を使うようになりました。
ここら辺の使い分けは、周りの人もそうしている人が多かったので、結果的に合わせる形となりました。
今は、同級生や後輩の前では「俺」、先輩や大人の前では「僕」で安定しています。
それでも「俺」歴がまだ浅いので、必要最低限の場面でしか「俺」を使っていません。
「僕」は割としっくりきています。
結局、僕は「僕」的な人間なのかもしれません。
まとめ
ダラダラと書き綴ってきましたが、結局一人称が決められなかったのは、気にしいな性格のせいだと思っています。
使わなくてもなんとかなっていたのは、自己主張の少ない性格だったからだと思っています。
一人称がない人なんてそうそういないと思いますが、この記事を見て「こういう人もいるんだ」と知っていただけたら幸いです。